城戸康秀 大木理恵子
阿蘇・中岳(熊本県)が20日に噴火し、噴火警戒レベルが引き上げられた。けが人などの被害は確認されていない。気象庁は警戒を呼びかけ、県は火口からおおむね2キロ以内の立ち入りを規制している。噴火を目の当たりにした付近の登山者もいた。
中岳火口から約2キロ離れた烏帽子岳(1337メートル)の山頂近くで、長崎県佐世保市の松尾一秀さん(72)は噴火の瞬間を目撃した。山頂で早めの昼食をとって下山を始めた時、「ゴオーッ」という音とともにあっという間に噴煙が盛り上がり、弧を描いて噴き出す黒い筋も見えた。
噴火から約1時間後、火口から約3キロの草千里駐車場にたどりついた松尾さんは「驚いた」と何度も口にした。火口から距離があり、噴煙が向かってくる様子もなかったため、危険は感じなかった。阿蘇にはたびたび登山に訪れているが、間近に噴火を見たことなどない。「火山灰の被害が心配される噴火だが、生涯、二度と見ることはないと思う」
京都大火山研究センターの大倉敬宏教授も、地震計のメンテナンスのため、火口から1キロあまり離れた場所にいた。雄鳥の尾のような形をした、黒っぽい土砂混じり噴煙を確認した。今回の噴火は、この「コックステールジェット」と呼ばれる噴煙を伴う水蒸気噴火だったという。
大倉教授らが一時避難した草千里駐車場では午後1時過ぎ、警察などを除く一般車両は退去を求められた。観光登山道路「阿蘇パノラマライン」では、警察官が山上方面に向かう車を止めてUターンを求めたほか、駐車スペースで噴煙の写真を撮るなどしていた人たちには早く下山するよう促していた。(城戸康秀)
「死ぬかと思った」目の当たりにした噴煙
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル